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Before It Flies
むりょう・7場面
ザーザー ふる 雨の 朝。木の 下に、小さな かたまりが、ぽつん。ユイが しゃがむと——ヒナでした。ぬれて、ふるえて、つばさを 片っぽ、だらんと しています。「だいじょうぶ?」ユイは、そっと 両手で つつみました。ちいさな 心ぞうが、とくとく、とくとく。「また、とべるように。」ユイは、そう つぶやきました。

おうちに かえって、ユイは、やわらかい タオルで、ふかふかの ベッドを つくりました。スポイトで、おみず。すりつぶした ごはん。ピピ、と なまえを つけました。「ピピ。また、とべるように、げんきに なろうね。」よるも、ベッドの よこに、ピピの はこ。ユイは、なんども のぞきました。

つぎの 日も、その つぎの 日も。ピピは、すこしずつ 元気に なりました。だらんと していた つばさが、ぴくっ、ぱたっ。ある朝、ピピが、はじめて 「ぴ!」と 鳴きました。ユイは、とびあがって よろこびました。「ピピ! いま、鳴いたね!」手の上で、ピピが、ぴょん、と はねます。

ある朝。ピピが、まどの ところに とまって、じっと、外を 見ていました。ガラスの むこうに、青い 空。とおくで、たくさんの 鳥が、ぴ、ぴ、ぴ、と よびあっています。ピピは、つばさを、ぱたぱた。まどガラスに、こつん、こつん。まるで、「そっちに いきたい」って、言っているみたいに。

ユイは、わかって しまいました。ピピは、もう、とべる。ピピの おうちは、この はこじゃ ない。ひろい、ひろい、空。むねが、きゅう、と なりました。「また、とべるように」——そう ねがって いたのに。とべるように なったら、ピピは、いなく なっちゃう。ユイの 目が、つんと しました。

つぎの 朝、ユイは、まどを、すこし あけました。つめたい 風。とおくの 鳥の こえ。ピピが、ユイの ゆびに とまって、空を 見て、それから、ユイの かおを 見ました。ぴ、と、ちいさく 鳴きました。まるで、「いいの?」って、きいて いるみたいに。ユイの 手の上で、ピピの つばさが、いまにも、ひらきそう。

風が、ふきました。ピピが、ユイを 見ています。空が、ピピを よんでいます。ぎゅっと 手を とじれば、ピピは、ずっと、そばに いる。手を ひらけば、ピピは、空へ いって しまう。——でも、それが、ピピの おうち。ユイの むねは、うれしいのと、さびしいので、いっぱい。ユイは、どうする?

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