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Eat It Now, or Save It?
ここまで むりょう・7場面
まどの ひかりに、ハルは、ちいさな あめを、すかして みた。きらり。まるで、たからいしみたい。「きょう、たべちゃおうかな……」かたの 上で、ハムスターの マメが、あめを、じいっと 見て、つばを ごっくん。——でも。ハルは、ふと、てを とめた。これは、ふつうの あめじゃ ない。

この あめは、おじいちゃんが くれた、さいごの ひとつ。とおくへ いく まえ、ハルの てに、そっと のせて くれた。「いちばん きれいな いろを、ハルに あげるね。」すきとおって、あまい においの する、たからいしの あめ。にぎると、おじいちゃんが、すぐ そばに いる みたいに、あったかい。

ハルの 口の なかが、じわっと した。たべたら、どんな あじ かな。あまくて、ほろっと とけて、したの 上で、きらきら するかな。いま、たべたら——この うれしさは、すぐ、ここに ある。マメの おなかも、きゅるる、と なった。ハルの てが、口の ほうへ、すこし うごいた。——でも。

でも、たべちゃったら——もう、ない。この きらりも、もう 見られない。おじいちゃんの あめを、もう、にぎれない。ハルは、あめを、じっと 見た。すきとおった なかで、ひかりが、ゆらゆら おどって いる。「たべちゃったら……どんな きもちに なるかな。」ハルの むねが、きゅうっと なった。

つくえの 上には、たからものを いれる、ちいさな はこが ある。ここに しまえば、まいにち、きらりを 見られる。おじいちゃんを、ずっと そばに おける。——でも、あじは、いっしょう、わからない。いま たべれば、うれしさは ほんもの。でも、あとには、おもいでだけ。ふたつの きもちが、ぶつかった。

マメが、あめに、ちょんと はなを よせた。「いい においだね」って いう みたいに。ハルの てが、あめを、きゅっと つつむ。あたたかい。まどの そとは、よく はれた、いい 日。——きょうが、その「とくべつな 日」かな? それとも、もっと とくべつな 日が、いつか くる? あと、すこし。

ハルは、すうっと、いきを すった。ての なかの、きらりの あめ。あまくて、たべたら、すぐ うれしい。つくえの、たからばこ。しまえば、ずっと、たいせつに できる。いま、たべて、たのしむ? それとも、とっておいて、たからものに する? ……ハルは、どう する?

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