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The Smallest Courage
むりょう・7場面
ハルには、モモという 犬が います。手のひらに のるくらい、小さいころから いっしょ。モモは、こわがり。大きな 音が すると、ハルの 足の あいだに かくれて、ぷるぷる ふるえます。そのたびに ハルは、ぎゅっと 抱きしめて 言うのです。「だいじょうぶ。わたしが、いるよ。」

その日の よる、空が、ごろごろ 鳴りはじめました。じつは、ハルも、ほんとうは かみなりが こわい。へやの でんきが ぱっと 消えて、まっくら。お母さんは、となりの へやで 赤ちゃんを ねかしつけています。ハルは、ふとんの 中で、ぎゅっと 目を つぶりました。足が、うごきません。

ぴかっ。ごろろろろ……! 大きな 音。ハルの むねが、どきん と はねました。「こわいよ……だれか……。」こえも、出ません。いつも モモに 言ってあげる 「だいじょうぶ」が、今は、ハルの ほうに、ほしかった。

そのとき。くらやみの むこうで、ちいさな 音。とととっ。――モモです。かみなりが、世界で いちばん こわいはずの モモが、ふるえながら、ハルの ほうへ 歩いてきます。にげるんじゃ、なくて。ハルの、ほうへ。

モモは、ハルの むねに、ぴたっと くっつきました。心ぞうが、とくとくとく、ものすごく 速い。やっぱり、こわいんだ。こわいのに――それでも モモは、はなれません。ハルの ために、ここに いてくれる。ハルの 目から、ぽろり。「モモ……ありがとう。」

ハルは、ふるえる モモを、そっと 抱きました。すると ふしぎ。うごかなかった 足に、ちからが もどってきます。「いこう、モモ。ひとりじゃ こわいけど――ふたりなら。」ハルは そっと 立ちあがって、くらい ろうかへ、一歩、ふみ出しました。

そのとき、かみなりの 音に まじって、聞こえました。「ふえぇ……」。赤ちゃんが、となりの へやで 泣いています。お母さんは――あれ、いない。きっと、消えた でんきを 見に いったんだ。赤ちゃんも、ひとりで、こわいんだ。ハルの むねの 中で、モモが、こくん と うなずいた 気が しました。ハルは、まだ こわい。でも、足は、もう うごく。ハルは、どうする?

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